5月下旬、米国で全裸の男がゾンビのようにホームレス男性の顔に噛みつき、顔の大部分を欠損させるという猟奇的事件が発生した。男の異常行動は「バスソルト」というドラッグによるものと報じられた。日本では規制されている成分を含むドラッグだが、合法ドラッグ屋の店主曰く、「同様の合ドラが流通している」という。

「バスソルトにもさまざまな種類がありますが、“顔食い”事件ではメフェドロンという物質を主成分にしたものが使用されたと言われています。メフェドロンは中枢神経興奮作用があるカチノン系の薬物で、摂取すると覚醒し、攻撃的になる。また体温が上昇するので、犯人が全裸だったのは、暑くて服を脱いだからでしょう。効き目が強く、合法ドラッグ愛好家の間でも『メフェドロンはヤバい』と話題でした」というのは、「合法ドラッグ」の最新事情に詳しい合ドラ販売店「粉屋」店主の仲間剛氏。

 メフェドロンは国内では’09年に薬事法による指定薬物になり、その危険性から同年7月上旬に麻薬指定されているが、それに代わる物質が登場し続けている。

 そして、日本で売られる合ドラでも、ゾンビ事件を起こす可能性がある種類のものがあるという。それはメトキセタミンに代表されるダウナー系薬物とカチノン系薬物を併せて服用した場合だ。メトキセタミンは麻薬に指定されている麻酔薬ケタミンやPCPから派生した脱法ドラッグで、摂取すると陶酔感を得られる一方、ネガティブな思考になり、被害妄想や幻覚に悩まされることもある。この薬物自体は6月上旬に規制されているが、すでにPCP由来の4-MeO-PCP、3-MeO-PCPと称される類似薬物がバスソルトとして出回っている。だがこれらは精製が難しく、実際は本物のPCPであるのだ。

「我々合法ドラッグ業者も問題視していますが、最近の新規業者はデタラメの一言。顧客をつかむため強い効き目の薬を求めて、危険な組み合わせも平気で行う。ダウナー系で妄想が出ているところにカチノン系の覚醒が加わり、信じられない行動をしたり、凶暴性を発揮したりすることがある。ゾンビ事件のような事例が発生しても不思議ではない」

 脱法ドラッグ業者ですら恐れるバスソルト。7月上旬、厚生労働省は5つの物質を指定薬物に指定し、バスソルトをはじめとする脱法ドラッグの規制を図るが、類似薬物はいまだ野放しの状況にあり、抑止力にはなりそうにない。根絶には類似薬物も一括して規制する包括規制が有効だが、実現への道のりは遠い。厚生労働省の医薬食品局監視指導・麻薬対策課は「包括規制の難しい点は、麻薬効果がない物質まで規制してしまう可能性があること。それを回避する法律の明文化が難しく、慎重に検討している段階」と語る。

 “ゾンビ”は確実に日本社会に忍び寄っている。

【Infoseek(楽天)ニュースより】




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