この光・・・この力・・・
優しかった・・・とても、あたたかい・・・

女達が、ララァのぬくもりを感じさせる光の中で、
私は、子供のように怒り、泣き、理解した。

アクシズを押し出すほどの膨大な光は、この戦場にいる者たちの意志だけはあるまい。
・・・地球にいるすべての、いや、この星から発したすべての人の総意が、
サイコフレームを媒介に発動した。
何が起こってるか知らぬまま、無意識の底で感じ取り、響きあって、
自分たちの母星が人の住めない惑星になるのを阻止した。

私が否定しようとした現実を生きる者たち。
愚民と規定して者たちまでが。

すべては、偶然の結果。

私がサイコフレームなどというものを持ちださなかったら、あるいは、違う結果もあったかもしれない。
だが、それさえも、予め仕組まれていた事ではなかったか。

「奇跡」もまた、人のおこす業(わざ)。

私の怒りも絶望も、すべてこの光の一部でしかなかったと理解る。
人の業を背負うと言いながら、私はあまりにも雑多でありすぎた。
このぬくもりを持ったモノが人なのだという事を忘れ、いたずらに逸る事しかしなかった。

私も愚民の一人。

この愚かしくもあたたかい、光の連鎖のひとつに過ぎなかったか。

・・・アムロの声が遠くなっていく・・・どこかで赤ん坊が泣いている・・・

この光があれば、迷いはしまい・・・道は続いている・・・

私は行くよ・・・アルテイシア・・・

・・・静かだ・・・時が・・・見える・・・


・・・・

・・・ここは・・・どこだ?

・・・「無」だ・・・

なにも無い闇・・・暗く・・・冷たい・・・宇宙の深淵・・・

地球は遠く・・・星の光に埋もれて、判別出来ない・・・
あの虹色の光もここには届かない・・・

いや・・・届いたとしても意味が無い・・・

ここには、「ひかり」をひかりと認識する命が存在しない。

想像が及ぶ限りの配意に、只々、虚空が広がっている・・・
文明はおろか、その統治に立った生命体すら認められない。
底なしの闇が、果てしなく続くばかりだ。

・・・無理もない。

ひとつの文明が発生して滅びるまで、宇宙のスケールでは一瞬の事に過ぎない。
一瞬が他の一瞬に出会うことは無い。
そのような奇跡をこの宇宙は知らない。
これまでも、これからも。

人類もまた、一瞬の光。
孤独に生まれ、孤独に死ぬ。
そこに在った事すら、誰にも知られぬまま・・・
この暗闇に一瞬の光芒を刻み、無依とかいひする、無為な存在。

ニュータイプになれば、あのあたたかな光をもって、時間さえも支配できる・・・それは夢だ!
地球を包んだあの虹を見ても、人は変わらなかった。
これからも変わる事は無い。

真理からは遠く、光を超える術すら手に入れられず、
届く範囲のスペースで増えては滅ぶ。
それが、人間だ!
・・・導く必要は無い!その、価値も無い!

ならば、私は「器(うつわ)」になろう・・・
カラになったこの体に人の総意を引き受け、かれらが願うところを願うとしよう。
ニュータイプ・・・可能性はもう、要らない!
無為な存在ならそれに相応しく、小さく自足出来る環境をくれてやろう!

・・・おかしなものだ・・・これではまるで復讐を誓っている様ではないか・・・
誰のための復讐だ・・・?・・・シャア?
・・・それもいい・・・他人がそう望むなら、私はシャアになろう!

フル・フロンタル。
赤い彗星の再来。

響きは悪くない。
可能性を捨てた人類には似合いの響きだ。

永遠の縮小再生産と、その果ての閉塞!

準備は整っている。

見せてもらおうか!新しいガンダムの性能とやらを!!