2013.12.25 03:08 [産経抄]

 日露戦争で日本軍、とりわけ陸軍の悩みは弾薬問題だった。谷寿夫の『機密日露戦史』によれば、旅順攻城戦で所期の成功を得られなかった一因も「兵器弾薬の不足にあった」と断じている。そのことが作戦上も重大な影響を与えたとしているのである。

 ▼1世紀以上がたっても、弾薬量が戦いの帰趨(きすう)を握ることに変わりない。それだけに南スーダンPKOに派遣されている韓国軍の指揮官は、不安にかられたようだ。急速に治安が悪化している東部の宿営地で、兵士や避難民を守るには銃弾が不足していたらしい。

 ▼やむを得ず、同じ南スーダンに派遣されている自衛隊に提供を頼んだ。そのさい韓国側は内々の話ですまそうとしたという。弾薬が足りなくなったなど軍として恥だ。しかも「歴史を直視しない」にっくき日本に頭を下げたなど、自国民に知られたくないのだろう。

 ▼日本側も武器輸出三原則をタテに断ることもできたが「大人の態度」で応じた。例によって「これまでの政府答弁と矛盾している」といった批判がある。だがそれは、国が存亡の機にあるときに過去の政府の方針をほじくり返すようなもので、放っておけばいい。

 ▼それより後味が悪いのは、銃弾の提供を受けた韓国政府の対応だ。国防省報道官は「予備量を確保するため臨時で借りたものだ。(銃弾は)不足していない」と語った。まるで5千万円を「個人的に借りただけ」と強弁して辞職に至った猪瀬直樹知事のようだ。

 ▼たとえ借りたつもりでも、感謝の一言がないようでは国際社会に通用しない。「反日」の看板を下ろさない朴槿恵大統領に配慮したのだろう。だが、国のメンツにばかりこだわるのは、命がけでPKOにあたっている自国の軍隊にも失礼である。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131225/plc13122503080001-n1.htm
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