2013.10.10 03:06 [産経抄]

 スーパーで買い物をして、6020円の勘定だったとする。一万円札に20円を足して、4000円のおつりをもらう。日本人としては、ごく普通の行動だろう。外国では違うらしい。

 ▼米国に長く暮らす日本人が、こんな例をネットのブログで紹介していた。18ドル86セントの品物を買い、20ドル36セント払った。1ドル50セントのおつりを期待しても、そうは問屋が卸さない。20ドルからのおつりとして、まず1ドル14セント、次に36セントがそのまま返ってきた。小銭を減らすつもりが、かえって多くなってしまう。

 ▼2桁のかけ算の暗算法があるというインドにはかなわないにしても、日本人の計算能力は、世界に鳴り響いている。OECDが、先進24カ国・地域の16〜65歳の男女を対象に実施した、「国際成人力調査」で、「読解力」とともに、「数的思考力」がトップだったのも、大いにうなずける。

 ▼他の国に比べて、成績下位者の割合がもっとも少なく、いわゆるブルーカラーの能力の高さも目立った。ノーベル賞受賞者を増やすのも大切だが、国力の維持には、なにより社会全体のレベルを高めることが、欠かせない。識字率が世界一だったといわれる江戸時代から続く、「読み書きソロバン」重視の教育の成果だろう。

 ▼ただ、安心はできない。今後の調査では、平成14、15年度から約10年間続いた「ゆとり教育」の影響が出てくるかもしれない。先日、報道された大学入試センター試験の見直し案にも不安を覚える。結果は点数ではなく段階別に示すだけで、受験機会も複数回に増やすという。

 ▼入試制度といえば、改革するたびに学力低下を招いた印象さえある。教育は、「昔ながら」が一番。今回の「国際成人力調査」の結果が、そうささやいている。

http://sankei.jp.msn.com/life/news/131010/edc13101003060000-n1.htm



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http://sankei.jp.msn.com/life/news/131008/edc13100823540003-n1.htm

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http://sankei.jp.msn.com/life/news/130606/edc13060611560000-n1.htm