2013.10.9 03:18 [産経抄]

 明治38(1905)年、日本は韓国を「保護国」とした。外交と軍事の権限を日本が握ったのだ。むろん武力を背景にしていたとはいえ「第2次日韓協約」を結び、合法的に認めさせた。弱肉強食の当時にあっては、普通のことでもあった。

 ▼これに対し韓国の高宗皇帝は2年後の6月、オランダのハーグで開かれていた万国平和会議に「密使」を送る。各国に「日本の非」を訴えようとしたのだ。だが会議は戦争時の取り決めを話し合うもので、2国間の紛争調停の場ではない。だからどの国も取り合わなかった。

 ▼「ハーグ密使事件」である。韓国とすれば対日包囲網をもくろんだのだろうが、日本から見れば他の大国への「言いつけ」にすぎない。このため伊藤博文をはじめ韓国に理解を示す穏健派も反発、「併合」へ強硬路線を進むことになる。まさに逆効果だった。

 ▼それから1世紀以上たつが、韓国、とりわけ朴槿恵大統領の対日姿勢はあまり変わっていない。米国のオバマ大統領やヘーゲル国防長官に向かって、安倍晋三政権の歴史認識非難を繰り返す。まるで子供が「先生、安倍クン悪いから叱ってください」と言っているようなものだ。

 ▼米国に対してばかりでない。日本への対抗意識丸出しで、中国にも接近をはかる。習近平国家主席との会談では、伊藤を暗殺した安重根の像を中国のハルビンに建てるよう協力を求めた。「言いつけ」外交と言って悪いなら「虎の威を借る」外交である。

 ▼言いたいことがあれば、堂々と首脳会談で論争を挑めばいい。これでは日韓関係がますますこじれるだけでなく、米国の方だって困ってしまうだろう。第一、人一倍プライドの強い韓国国民が、こんな外交姿勢を支持するとは思えないのだが。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131009/plc13100903180001-n1.htm



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