例年よりも厳重な警備体制の靖国神社=15日午前(三尾郁恵撮影)


2013.8.17 03:22 [産経抄]

 なかなか水際だったものでしたよ、と終戦の日に靖国神社を取材していた同僚記者が、感心した面持ちで社に戻ってきた。韓国の国会議員らが靖国神社前で「日本の右傾化」を非難する声明を発表しようとし、周辺は阻止しようと集まった人々と韓国メディアがにらみ合い、一触即発の状態だった。

 ▼だが、ホテルから靖国を目指してタクシーに乗った彼らは姿をみせなかった。正確にいえば、神社から500メートル離れた地点で、「トラブルになるので、ここでお願いします」と警察官にピタリと止められたのである。

 ▼同僚記者によると、警官は通行人の邪魔にならぬところに誘導し、その場で議員らは安倍晋三首相の悪口を書いた横断幕を掲げた。10分ほど後、周囲が騒がしくなったころを見計らって警官が「保護します」とソフトな口調で宣言、車に乗せてホテルに送り届けた。

 ▼議員たちは「警備が過剰だ」と文句をつけたが、内心ほっとしたことだろう。もし、神社まで出向いていたら、ケガ人が出る大騒ぎになったはずである。逆恨みした韓国は、日本批判を一層強め、日韓関係は修復不能になりかねなかった。

 ▼エジプトで、デモ隊排除によって信じられぬほどの死傷者が出ているのを聞くにつけ、日本警察の優秀さを思い知る。入国拒否に値する人物を強制排除せずに、納得ずくで保護する技は、わが愛する隣国にはとてもできまい。

 ▼それにつけても首相が、靖国神社に参拝しなかったのは残念だった。中国や韓国、両国の代理人のような新聞は、戦没者追悼式の式辞に「反省や不戦の誓い」を盛り込まなかった、と非難している。参拝せずとも言い掛かりをつけられるなら、自らの信念を通した方がいい。今度こそ悔いを残さぬためにも。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130817/plc13081703240003-n1.htm



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