2013.6.26 03:13 [産経抄]

 毎年の楽しみだが、通勤電車から見えるネムノキが今年も花をつけ始めた。淡紅色で糸状に見える花は、アジサイとともに梅雨の季節には欠かせない。日本列島から中国、東南アジアに分布し、日本と中国で名前の由来が違うのがおもしろい。

 ▼夜になると向かい合った2枚の葉が合わさるように閉じる。眠っているようだというので日本ではネムノキだ。中国となると、2枚が合い歓(よろこ)んでるみたいだから合歓木である。夫婦和合、家内平和の象徴とされる。日本でも合歓木をネムノキと読ませることがある。

 ▼こんな柔らかな感性を秘める中国だが、今の国家となると正反対の刺々(とげとげ)しさばかりが目につく。日本の尖閣諸島への攻撃姿勢だけではない。南シナ海でも「島」をめぐりフィリピンやベトナムと衝突する。米国とは首脳会談を行っても、サイバー攻撃などでの対立は解けない。

 ▼成長著しい経済力を生かし、アフリカや欧州にまで食指を動かす。国際社会はそんな厳しいものだと言えばその通りだが、中国だけは1世紀以上前の帝国主義時代に戻ったように見える。今や世界中の国がこの国との付き合い方に悩んでいるのである。

 ▼外向けだけではない。昨日の報道によれば、江沢民・元国家主席派の周永康・前政治局常務委員の腹心が共産党による取り調べを受けているという。江沢民派は習近平国家主席派と密接な関係にある。だから、この取り調べは新たな権力闘争が始まる兆しとの見方もあるようだ。

 ▼むろん文化大革命がそうだったように、この国では権力闘争は日常茶飯事と言っていい。ただその矛先が他国に向けられてはたまったものではない。指導者たちもたまにはネムノキでもながめ、心を和ませてはどうかと思ってしまう。


http://sankei.jp.msn.com/world/news/130626/chn13062603140000-n1.htm


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