2013.6.15 03:05 [産経抄]
 政治家やエリートの失言・暴言が最近、やけに目立つ。中でも驚いたのは、神に仕える身であるローマ法王フランシスコが、聖職者や法王庁スタッフを前に「出世主義はハンセン病だ」と演説した一件である。

 ▼法王庁内の過度な出世主義と権力闘争を批判したものではあるが、ハンセン病を「大変悪いモノ」という意味合いで使っている。今なお差別と偏見に苦しんでいる患者側からすればとんでもない発言だが、あまり大騒ぎにならないのは人徳のおかげか、はたまた別の理由なのか。

 ▼法王に比べれば、ぐんと格落ちするが、福島県の被災者支援を担当してきた復興庁のお役人も負けてはいない。短文投稿サイトのツイッターで「左翼のクソどもから、ひたすら罵声を浴びせられる」とつぶやいて担当をはずされた。こちらは差別ではないが、言葉遣いが下品すぎた。

 ▼ツイッターやフェイスブックなどSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が、急速に普及したおかげで世の中便利になった半面、落とし穴にはまる人も増えている。瞬時に情報が駆け巡るSNSは「しまった」と思ったときにはもう遅い。

 ▼幸か不幸か、小欄はツイッターもフェイスブックもしていない。いまさら友達100人つくろうとはさらさら思わないし、そんな時間があれば、新聞や本を読み、映画を見、酒を飲んだ方がいい。

 ▼少数ながら同志も増えてきたようである。お笑い芸人の庄司智春さんは、一部の心ないユーザーの中傷に悩み、「SNSというモノに若干疲れました」と卒業を宣言した。余った時間は筋トレやネタ作りなどに使うそうである。ネットで人とつながっているのは、幻想にしかすぎない。若者よ、たまにはSNSをやめよ、町へ出よう。

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130615/its13061503050000-n1.htm



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