2013.5.22 03:09 [産経抄]
かつて人生幸朗・生恵幸子さんの「ぼやき漫才」が一世を風靡(ふうび)した。人生さんが、せちがらい世相をぼやく一方で、時の流行歌をやり玉にあげる。例えば伊東ゆかりさんの『小指の想い出』の「あなたが噛(か)んだ小指が痛い」に「誰が噛んでも痛いわ!」。
▼その上で「責任者出てこい」と叫ぶ。ぼやきというより難癖、イチャモンである。だが観客はそのかわいげに満ちた難癖を喜び、拍手を送ったのだ。しかも最後は殊勝に「わがまま勝手なことばかり申し上げまして」と謝る。上品な「ぼやき漫才」だった。
▼韓国メディアによる安倍晋三首相たたきも、もはや難癖以外の何物でもない。しかもかわいげのカケラもなく、笑えないイチャモンだ。中でも大震災被災地の航空自衛隊基地で、練習機の操縦席に座ってみせた首相を攻撃している、というのにはあきれるしかない。
▼練習機の機体番号が「731」だった。これは細菌兵器実験をしたと韓国などが「憎悪の的」にしている旧日本軍の部隊の番号だ。だから首相の行動は「他人の傷を意図的にほじくり返す行為」だという。一体どこにそんな酔狂なことを考える者がいるというのだろう。
▼一方、首相が長嶋茂雄氏らへの国民栄誉賞授与後の始球式で付けた背番号「96」は第96代首相にちなんだものだ。だがこれすら「憲法96条改正の主張を思い出す」と、「右傾化」攻撃の材料にする。「ぼやき漫才」ではない。れっきとした韓国一流紙のコラムや社説である。
▼もっとも韓国が今、困っているのは円安のようだ。それを安倍首相のせいにして難癖を繰り返している面もある。だがそれでは、日本の景気を回復させ、利用しようという国際社会の動きから、韓国が取り残されてしまいそうだ。
5月12日、航空自衛隊松島基地を激励に訪れ、ブルーインパルスの機体に乗り込む安倍晋三(しんぞう)首相。機体番号「731」は意図的であるとして、韓国世論は噛みついてきた=宮城県東松島市(松本健吾撮影)
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130522/plc13052203080004-n1.htm
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http://sankei.jp.msn.com/west/west_economy/news/130422/wec13042208000001-n1.htm